人生を切り開く「選ぶ力」。 4つの手法を用いて磨く!

「人はたくさんの選択肢を与えられると、却って選ぶことができなくなる。」

このような説をよく聞きます。

私も同感です。

私たちは生きていく上で、多くの選択肢から最適なものを選ばなければならない場面に、何度も遭遇します。 

そのような場面でも動じることなく最良の選択ができれば最高です。

しかし実際は、その方法が分からず選択を先延ばしにしたり、選択をためらってしまうことがしばしばあります。

では、どうすれば選択を容易に、かつ適切に行うことができるのでしょうか?

【本記事は、現コロンビア大学ビジネススクール教授のDr. Sheena IyengarによるTED Talk "How To Make Choosing Easier"を元に構成しています。】

生きていく上で増える「選択上の制約」

よほどその対象に詳しいか、好きでない限り、膨大な量の中から選ぶという行為は難しく、時に苦痛を伴います。

さらにやっかいなのは、生きていく上でいろんな経験を重ねると、選択上の「制約」が増えてしまい、かえって選びにくくなる傾向があることです。

例えば、もし糖尿病と診断された場合です。

健康な時と違い、スーパーに陳列された膨大な食材から、成分や含有量などに十分配慮して選ばなければなりません。

糖尿病の場合、健康な時のように食事を選ぶことができません。

もう少し身近な例としては、失恋を重ねた後の、新たな恋人選びの場合です。

初めての恋愛のときは、「この人が好き!」という直感だけで恋人を選ぶことができました。

しかし、恋愛経験を重ねていくと、次第に相手の「外見」や「言葉遣い」、「性格」、「地位や収入」など、自分の中にある評価軸が定まり、かえって恋人選びが難しくなってしまうことは珍しくありません。

つまり、選択することは決してたやすいことではなく、選択の難易度は経験や環境などによって容易に変わってしまうものなのです。

選択のテクニック

しかし選択は、私たちがどんな環境や条件にあるかはお構いなしに、ある日突然、私たちに迫ってきます。

そこで、たとえ多くの制約が伴っても適切な選択ができるようにするために、次に紹介する「選択を簡単にするための4つのテクニック」が役に立ちます。

テクニック1: 切る(Cut)

その名の通り、選択肢を減らすことです。

その結果、選びやすくなる上、「選択しない」という選択を減らすことができます。

どういうことでしょうか?

例えば、架空の例で考えてみましょう。

勤務先が確定拠出年金を導入したKさんは、投資は全く未経験ながら、勤務先から投資対象として100種類()の投資信託の中から選べ、と言われました。

 企業が実際の従業員に提供する運用商品数は35本までと決められていますが、テクニックを理解しやすくするため、敢えて100種類としています。

退職後に受け取る年金を増やすには、債券や株式など値動きのある商品を組み合わせた投資信託を選ぶことが大切です。

しかし、100の選択肢から選ぶことに圧倒されてしまい、Kさんは投資信託を選ぶことを止め、代わりに資産の成長がほとんど期待できない定期預金を選んでしまいました。

もし、選択肢の数が10であれば、Kさんの選択は違ったことでしょう。

この場合、会社の立場なら、Kさんに与える選択肢を減らす。

もしくはKさんの立場なら、自らの基準を作り、それに合わない選択肢を切る、という工夫が必要です。

テクニック2: 選択肢を具体化する(concrecation, make it real)

選択肢を選びやすくする方法の2つ目は、具体化です。

つまり、選択することで生じる結果を具体的に示すことで、選びやすくする方法です。

前述のKさんの例に当てはめてみます。

Kさんが投資信託を選びやすくするには、どちらの説明が有効でしょうか。

1.債券や株式を組み込んだ投資信託が選びましょう!
2.X投資信託が〇%のリターンを20年続けると、年金は年〇円になります。

より投資信託を購入した場合の効果をイメージできる2の方が、Kさんにとっては選びやすいはずです。

テクニック3: カテゴリーに分ける(categorization)

これもその名の通り、選択肢をいくつかの「適切な」カテゴリーに分ける方法です。

投資未経験のKさんが与えられた100の投資信託は、例えば「価格変動リスク:低、中、高」、「保険あり、なし」、「債券型、株式型、ハイブリッド型」など、3,4つ程度の分かりやすいカテゴリー名がついていた方が、確実に選択しやすくなります。

しかし、カテゴリー名を付ける際は、商品の中身と一致している必要があります。

例えば、「株式」中心の投資信託に「ワイン」、「債券」中心の投資信託に「ブランデー」と名付けるのは無意味です。

(実際の投資信託にも、名称と中身が一致しないものがあるので要注意です。)

これでは何のことだか…

テクニック4: 徐々に複雑さに慣らす(condition for complexity)

このテクニックでは、選択肢を減らすのではなく、まず最初に少ない選択肢から始めて、慣れてきたらその都度、選択肢を増やしていく、という方法です。

Kさんは、最初に100種類の投資信託を選択肢として与えられても、選択できませんでした。

そこで、Kさんが最終的に「適切な」選択ができるよう、まず「株式型」、「債券型」の2種類の選択肢から始め、慣れてからは、そこからさらに「米国株」か「国内株」主体か、ESG関連か、など選択肢を細分化していくことで、よりKさんに合った投資を選ぶことができるようになります。

切り方が分からなければ、まずカテゴリー分けから。

ここまで、選択を容易にする4つのテクニックを紹介しました。

しかし、言うは易し、行うは難し。

特にテクニック1「切る」については、「多数ある選択肢の中から、どれを切ればいいのか分からない。」と戸惑う方も多いと思います。

その場合は、まずテクニック3「カテゴリーに分ける」から始めるのが、私のおすすめです。 

その理由は、選択肢をいくつかのカテゴリーに分ける過程で、「似たような選択肢」や「意味のない選択肢」を見つけることができるからです。 そうした選択肢を切ることで、徐々に選択肢を減らしていくことができます。

最適な選択には試行錯誤を伴います。

私も選択に迷い、悩み、立ち止まってしまうことはしょっちゅうあります。

よりよい選択ができるための智慧を一緒に身につけていきましょう。

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