家族でよく進路について話す子は、お金に強くなるって本当?
お金の教育を受けていない私たちが、どうやって子どもに教えればよいのか。
「お金のこと、子どもにどう教えていますか?」
こう問われると、ドキッとする方は多いのではないでしょうか。
なぜなら、私を含めた大抵の大人は、「いつから、どのようにお金のことを子どもが学ぶべきか」を子どもの頃に学んでいないからです。
では、そんな私たち大人が、子どもにどうやってお金のことを教えればいいのでしょうか? 夏休みとなり、お子さんと過ごす時間も増えた方に向けて、そんな疑問点に答えてみます。
親が最先端の「お金」の世界に精通する必要はない。
「子どもにお金を教えるに当たり、まず親がきちんと知っておかなければならない。」
そう考える方もいらっしゃると思います。
確かに一理ありますが、それが絶対条件ではありません。
お金、特に経済や金融の世界は、他の産業と比べても特に変化と進化の激しい業界です。
金融の世界はAI、ブロックチェーン、仮想通貨、メタバースなど、新たな概念が次々と登場し、経済はロシア・ウクライナ問題など、これまで予想もしなかった事態に直面しています。 そして、更に進む少子高齢化に合わせた新たな社会保障や年金制度の再設計など多くの課題も抱えています。
そんな中、これらの技術を全て追いかけ、将来大人になる「子どもの身」になって未来を見据える、というのはよほど経済や金融に興味がある方でない限り、難しいことです。
それに、これらを身に付けてから子どもに教えよう、と考えていたら、いつまで経っても教えられません。(身に付けている内にも、金融の世界は進化し続けます)
子どもにお金の教育をするにあたり、親がこれらを知っておくべきでしょうか?
いえ、知る必要はないと思います。
それは「お金の教育」をする上で最も大切なことではないからです。
家族で進路のことをよく話す子は、お金に強くなる?
では、親の知識より大切なことは何でしょうか?
それは、お金に限らない内容の、家族での会話です。
やや古いデータですが、興味深い調査結果があります。
2015年に金融広報調査委員会(知るぽると)が公表した「子どものくらしとお金に関する調査」によれば、「自分がつきたい仕事」、「将来の夢」、「社会のこと」、「進路のこと」、「お金のこと」などをよく家族で話すと回答した子どもは、以下の傾向があることが分かっています。
- おこづかいの使い方について計画を立てる
- 何かを買うときに必ず価格を調べる
- おつりをもらったら、必ず確認する
- レシートをもらったら、金額を確認し、持ち帰る
- 現在よりも将来の方が大事と考える
- 気になったことをすぐ調べる
しるぽると「子どものくらしとお金に関する調査」より。
どれも、子どもに限らず大人にとっても、「お金」に強くなる上でのとても重要なスキルです。 特に、「現在よりも将来の方が大事と考える」は、そのまま子どもの貯蓄する力につながっていきます。
一方で、この調査結果だけを持って「子どもがお金に強くなる上で最も大切なのは、家族の会話だ」とも言い切れません。 調査はあくまでサンプルに基づく調査です。
しかし、お子さんが家族の会話によって行動が変わる、という点では子育ての経験からも実感できるのではないでしょうか。
ちなみにお金や物の値段の会話をよくする我が家では、息子(4歳)が何かを買ってもらうたびに、「これは安い、高い」を口にするようになっています。(いいのか悪いのかはまだ分かりませんが…)
うんこドリルは、お金教育の救世主?
それでも、家族の会話だけでは、お金の計算をしたり、より複雑なお金の問題を解決する力を身に付けるには不十分、と考える方も多いかと思います。
幸い、子ども用の「お金」に関する座学用テキストはたくさん出版されています。
その際たるものが、大ヒット商品「うんこドリル」です。
我が家で使っている「うんこドリル おかね」
うんこドリルは、実際のお金(硬貨やお札)以外、登場人物、買ったり売ったりする商品も全部、うんこのイラストに満ちています。
この大人気テキストの影響力は、今や子どもへの金銭教育を進める政府をも動かしました。
金融・証券業の監督官庁である金融庁は「うんこお金ドリル」、財務省主税局は「うんこ税金ドリル」を出版するに至っています。
(なお、報道によると、これに続いて今度は企業の競争を監視する「公正取引委員会」が、「うんこドリル”競争の原理”」を出版したそうです。)
何もうんこドリルが全てではありませんが、お伝えしたいのは、楽しそうなテキストと家族の会話が組み合わさることで、子どもの「お金」に関する力はより伸びるのではないか、ということです。
方法と手段は手に届くところにある。
「いつ、どうやって子どもはお金のことを学ぶべきか。」
記事の冒頭で、私たち大人はこの点で教育を受けていない、と書きました。
しかし、この問に対する答えは、私もはっきりとは分かりません。
(調査すれば、傾向は見えるかも知れませんが、それはただ一つの「正解」ではありません。)
ただ一つ言えることは、私たち親が教えるための方法と手段、つまり「家族との会話」、そして「質の良い教材」は、手の届くところにある、ということです。
まずは肩肘張らず、始めてみてはいかがでしょうか?
わたしも楽しみながら、子どものお金を学んでいきます。