電気料金を安いプランに変えても、逆に高くなるケースとは?

ウクライナ危機による世界的なエネルギー供給不安によって、私たちの電気料金は毎月上がり続けています。 

そんな環境で、どうすれば私たちは電気料金を安くできるのでしょうか?

それには大きく2つの方法があります。

一つには政府も奨励する「節電」。 

そしてもう一つは、「プランの乗り換え」です。

2016年より電力小売りが自由化され、私たち需要家はさまざまな電力会社(8/5現在、737社)が提供する「安い」プランに自由に乗り換えできるようになりました。

しかし、ここ最近は事態が変わってきています。

「安い」と思って乗り換えても、逆に高くなるケースがあるのです。

どういうことでしょうか?

電気料金のキホン

本題に入る前に、一般的な家庭用(低圧)電気料金の仕組みについてごく簡単に押さえておきましょう。

私たちが支払う電気料金は、以下の3つの合計です。

1.基本料金(毎月固定でかかる)
2.電力量料金(料金単価x1か月の使用電力量)
3.再エネ賦課金( 同上 )

資源エネルギー庁「月々の電気料金の内訳」より


基本料金以外、つまり「電力量料金」と「再エネ賦課金」は、1か月の使用電力量に応じて変動します。

では、「単価」はどうでしょうか?

こちらも変動しますが、変動するタイミングがそれぞれ違います。

電力量料金のうち、「電力量料金単価」(表の①)
   → 電力会社が電気料金を見直した時だけ変動する。

電力量料金のうち、「燃料費調整単価(注)」(表の②)
   → 毎月変動する

再エネ賦課金単価」(表の③)
   → 1年毎に見直し

(注)燃料費調整単価については、以下の過去記事もご覧ください。

なぜ、節電しても電気代が上がる?(燃料費調整額のしくみ)

Contents 電気料金のキホン電気料金は下げることが「できるもの」と「できないもの」がある。なぜ、安いプランに変えても料金が高くなってしまうのか。乗り換えによって高…

電気料金は下げることが「できるもの」と「できないもの」がある。

では、電気料金のキホンを押さえた上で、電気料金のうち、(節電以外で)下げることができるものと下げることができないものを整理してみます。

下げることができるもの

基本料金 

→ ブレーカー容量(アンペア)を下げる。
→ 基本料金が安い、もしくは「ゼロ」のプラン(電力会社)に乗り換える。

・電力量料金のうち、「電力量料金単価」
→ 単価が安いプラン(電力会社)に乗り換える。

下げることができないもの

・電力量料金のうち、「燃料費調整単価」
→ 原則、エネルギーの市場価格が元になるので、安くできない。(注)

・再エネ賦課金 
→ 再エネの導入費用を広く消費者が負担するため、安くできない。

(注)ただし極めて一部ですが、燃料費調整単価を上げずに据え置いている電力会社もあります(例えばコチラ)。 そのような会社のプランに変更すれば、電気代が安くなるかも知れません。 とはいえ、近い将来方針が変更になる可能性もあります。

なぜ、安いプランに変えても料金が高くなってしまうのか。

では、なぜ安いプランに乗り換えても、かえって電気料金が高くなってしまうのか。

その本題に入ってみます。

それは、せっかくプランを変えて基本料金や電力量料金単価を下げても、その後に

<div style="border: 5px solid #91D8AC; padding: 10px; border-radius: 10px; background: ;"><b>電力会社が(環境の変化等を理由に)電力料金単価を上げることがある。<br>燃料費調整額の上限を撤廃することがあり、燃料費調整額が上がり続ける。</b><br> </div>

からです。

乗り換えによって高くなってしまった例

具体例を見てみましょう。

東京電力(TEPCO)の「従量電灯B」(自由化前からあるプラン)から、楽天でんきの「プランS]へ乗り換えたYさんのケースです。

楽天でんきは、基本料金ゼロ、電力量料金単価は電気使用量に関わらず一律という分かりやすさで人気がありました。 

しかし、2022年3月に「国際的な燃料価格の高騰による電力調達価格の高騰に対応することが極めて困難になった」ことを理由に、「燃料費調整単価の上限撤廃」と、「料金単価」(値上げ)の改訂を行いました。

その結果、改訂前はTEPCOのプランより安かったYさんの電気料金は、改定後に逆に高くなってしまっています。(下図)

筆者による試算(燃料費調整単価は2022年9月分で算出)


しかし、この改訂は致し方ない面もあります。 それは、現在のエネルギー高騰では、そもそも経営的に電力事業が成り立たない環境だからです。

東京電力が公表した2021年の部門別収支によれば、自由化後のプラン(自由化部門)は852億円の赤字となっています。(一方、自由化前のプラン(規制部門)は270億円の黒字)。 この状況では、自由化によって生まれた電力会社のほとんどは赤字で、値上げしなければどうにもならない状況と推測できます。

そうは言っても私たち需要家から見れば、「安くなると思って変えても、後で逆に高くなるかも知れない」と思うと、おいそれとプランを変えられないのが正直なところでしょう。

乗り換え前に確認しておくべき2点

これまで述べた状況下では、確実に電気料金を下げることができる乗り換え先を見つけるのは難しいと言えます。 それでも、もし探す場合は、次の2点は必ず確認するようにして下さい。

 今後、電力量料金の値上げの可能性はないのか?

 燃料費調整額に上限はあるのか。 もしあるなら、今後撤廃される可能性はないのか?


また、電力各社のホームページにはよく「〇〇円安くなる」と書かれていますが、これには「燃料費調整額」を含めていない場合があります。 

本当のメリットを算出する場合は、必ず燃料費調整額を含めるようにして下さい。 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。