インフレに負けないで、夫婦で楽しく節約するには?【後編】

この記事は後編です。

前編はこちら。↓

インフレに負けないで、夫婦で楽しく節約するには?<前編>

夫と妻の「金銭感覚」。 それは時に夫婦のきずなを強めるときもあれば、壊すこともあります。 しかし、金銭感覚がピッタリと一致する夫婦はむしろレア。 ほとんどの夫婦は…

結果(電気代アップ)から、成果を「見える化」する。

前編では、前年比973円アップした我が家の電気代を2つの要因別に分解しました。

この分解が、夫婦の努力を「見える化」するのです。

① 単価が上がったことによる影響:     +2,720円
② 使用量が下がったことによる影響: ▲1,747円
合計                 +   973円

この結果から、以下のことが分かりました。

単価は急上昇したものの(+2,730円)、(節約により)電気の使用量が下がった(▲1,747円)お陰で、電気代の上昇は973円だけで済んだ。

つまり、1,747円分の節約が「見える化」しています。

見える化した結果をほめたたえる。

さて、電気の使用量を下げたのは、誰のお陰でしょうか?

夫でしょうか。 それとも妻?

それなら、相手の努力をほめてあげましょう。

もし、夫婦で一緒に頑張った結果なら、お互いの成果をたたえて乾杯でもしませんか?

「いや、まだ不十分。 まだまだ節約の余地はある!」

と頑張り屋のあなた。

それなら、さらに節約できることはないか、夫婦で冷静に話し合いましょう。

しかし、くれぐれも相手に努力を押し付けないように!

電気代のアップをどうやって要因別に分解する?

それでは、前年比で973円アップした電気代を、どうやって「単価」と「数量」の要因別に分解すればいいのでしょうか?

分解までの具体的な流れを説明したのが、以下の図です。

電気代の上昇を、「対処できること」と「できないこと」に分解する

「何やら難しそう…」

いえ、心配は無用です。

難しい計算は必要ありません。

必要なのは、以下の2つだけです。

1.今月と前年同月の電気代請求書
2.電卓

ここからはサンプルとして我が家の請求書(東京ガスの「ずっとも電気1」(注1))を使いますが、是非、ご自身の請求書を使って計算してみてください。

注1 ずっとも電気1は、2021年5月16日をもって、新規申込受付を停止しています。

ステップ1: 今月と前年同月の電気料金合計を確認する。

請求書から、今月と前年同月の電気料金合計を比較しましょう。

当月   11,210円
前年同月   10,237円
差額          973円(のアップ)

ステップ2: 今月と前年同月の使用量を確認する。

同様に請求書から「使用量」を確認しましょう。

サンプルには3種類の「使用量」が載っています。

① 今月使用量 = 311kWh
② 前年同月使用量 = 375kWh
③ 前月使用量 = 202kWh

この内、比較するのは①今月使用量と、②前年同月使用量のみです。(注2)

そして、2つの数字を比べてみてください。

使用量が昨年より64kWh、つまり17%も減少しています。

節約が上手く行ったことが分かります。

(注2)実際は「今月使用量」と「前月使用量」の比較も可能ですが、使用量に季節的な要因を含むため、「節約度」を測るなら前年同月との比較が望ましいでしょう。

ステップ3: 単価を割り出す。

ステップ2の「電気料金合計」を、ステップ1の「使用量」で割れば、電気代の「単価」を算出できます。(注3)

当月  : 11,210円 ÷ 311kWh ≒ 36.05円/kWh

前年同月: 10,237円 ÷ 375kWh ≒ 27.30円/kWh

この時点で、単価は前年と比べて約24.3%も上がっていることが分かります。

これは猛烈なインフレです。

注3 厳密には「電気料金合計」の中に、使用量に比例しない料金(基本料金<契約アンペアと比例>とセット割引額<使用量に関係なく定額>)が含まれていますが、含めても結果への影響は少ないため、あえて除外せずに単価を割り出しています。

ステップ4: 前年との電気料金の差を、「単価差」と「数量差」に分ける。 

やっと分析のための材料が出そろいました。

最後のステップです。

ちょっとややこしくなりますが、あと少しです。

ステップ1で算出した電気料金の差額+973円を、「単価差」「数量差」に分けます。

ちなみに、

「単価差」とは、差額+973円のうち、単価の変動によって生じた差額

「数量差」とは、差額+973円のうち、使用量の変動によって生じた差額

のことです。

「単価差」、「数量差」は、以下の式で算出します。

(今月の単価 ー 前年同月の単価)× 今月の数量 = 単価差

(今月の数量 ー 前年同月の数量)× 前年同月の単価 = 数量差

式に当てはめて計算してみましょう。

(36.05円-27.30円 )× 311kWh  ≒ +2,720円(単価差)

(311kWh-375kWh)× 27.30円 ≒ ▲1,747円(数量差)

電気代が上がった要因を、①単価が上がったことによる影響と、②使用量が下がったことによる影響の2つに分けることができました。

なお、この分解を図にしたものが下の図です。

工業簿記や管理会計を習った方ならピンときたと思います。

そう、「差異分析」です。 

これを家計にも応用してみました。

レポートを作って夫婦でシェアしよう!

今回、前編、後編と分けて、「インフレに負けないための夫婦の節約術」というテーマで、結果を分解して、夫婦の成果を見える化する手法についてご説明しました。

ただし、毎回分解を手計算で行うのは面倒で、実用的ではありません。

そこで、家族で使用できる「水道光熱費レポート」を作成しました。

このレポートの更新方法と、サンプルデータ(Excelファイル)へのリンクは、近日中にこちらのブログでご紹介します。

追記: 前編の記事にて、後編にてレポートを作成します、と予告しましたが、予定を変更しています。

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