公的年金に関するクイズ。 あなたは知っていますか?

まずは簡単な公的年金クイズに答えてみましょう。

老後にもらえるはずの公的年金。

そこで、クイズです。

以下の質問の答えを知っていれば「はい」を。

知らなければ「いいえ」でお答えください。

ご自身の公的年金について、

Q1 「いくら受け取れるか」知っている? はいいいえ
Q2 「自分が何号の被保険者か」を知っている? はいいいえ
Q3 「公的年金を受けるために必要な加入期間」を知っている?はいいいえ
Q4 「何歳になったら年金をもらえるか」を知っている?はいいいえ
Q5 「加入している公的年金の種類」を知っている?はいいいえ

いかかでしょうか? 

ほとんど「いいえ」でしたか?

でも、それは恥ずかしいことではありません。

50歳未満の方であれば、これらの質問に「はい」と答えた方は少数派かと思います。

クイズの目的は、「金融リテラシー」の計測

種明かしをしますと、このクイズは、全国の18歳~79歳までの個人3万人を対象にした調査(※1)から公的年金に関する質問を引用したものです。 

この調査の目的は、いわゆる「金融リテラシー」の計測にあります。

「金融リテラシー」とは、金融や経済に関する知識や判断力のことで、この知識があることで、より自立して安心した生活が送れる、と言われています。

調査の結果と、ご自身の回答を比べてみよう

では実際の結果を見てみましょう。

以下のグラフは、Q1~5の各問に「はい」と答えた方の、年齢別および男女別割合を示したものです。 

是非、答え合わせのつもりで、ご自身と同じ性別と年齢層をチェックしてみてください。

知るぽると:2022年金融リテラシー調査結果より筆者作成(以下同様)

グラフから読み取れる3つの意外な点

回答が終わったところで、グラフの中身をもう少し詳しく見てみましょう。

よく見てみると、意外な事実が見て取れます。

1.「将来いくら受け取れる?」の正答率が最も低い

Q1~5は、ある順番に基づいて並べてあります。

この「ある順番」とは、50代以下の正答率が低い順です。

つまり、Q1が一番正答率の低い問題ということになります。

Q1の内容は何だったでしょうか?

「いくら受け取れるか知っている?」でした。

すなわち、Q5「加入している公的年金」よりも、Q4「何歳になったらもらえる」よりも、「いくら受け取れるか」を知らない方が多いのです。

この結果、意外です。

ほとんどの人が公的年金で一番気になるのは、私を含めて「自分が何号被保険者か」とか「必要加入期間がいくらか」よりも、「将来いくらもらえるのか?」だと思っていたからです。

なぜこのような結果になったのでしょうか?

主な理由は2つ考えられます。

一つは、将来の年金を当てにしていない、もしくは関心がない。

もう一つは、関心はあるけれど、どう調べればいいのか分からない。

どちらでしょうか?

私は後者と考えています。

その理由は、別の調査結果(※2)を見るとはっきりします。

この調査結果は「老後における生活資金源」として、何を重視するかを調べたものですが、「公的年金」と回答した方が71.1%と最も多く、2番目の「就業による収入」(49.1%)を大きく引き離しています。

※2 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]2021年より

この事実から、こんな結論を導くことができます。

「将来の老後生活のあては公的年金、と考えている方は多いものの、いくらもらえるかを具体的に知っている方は少ない。」

つまり、将来の年金額については関心はあるものの、どこで調べたらいいのか分からない、もしくはどうやって計算したらいいのか分からない、という方が多いのではないかと思われます。

2.女性より男性の方が公的年金のことをよく知っている。

Q1~Q4において、40代以下の層は女性より男性の方が「知っている」と答えた割合が多くなっています。

この結果も意外です。

年金の知識に男女の差など関係あるのでしょうか?

いえ、知識の差よりも、もっと別の所に理由があるかも知れません。

そこで、男女別の平均年金受給額を見てみましょう。

すると、男女間で年金受給額に大きな差があることが分かります。

厚生労働省「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、65歳から受給する厚生年金(1号)の月額平均は、男性が170,391円に対し、女性は109,205円。

実に月6万円強の開きです。

そこから推察すると、男女間の知識の差は、単に知っているかどうかではなく、「男性より女性の方が平均的な公的年金の受給額が少ないため、関心が薄い」ことが理由ではないかと考えられます。

(老齢)厚生年金の受給額は、ごく簡単に言えば「現役中に受け取った給与と賞与の平均」が高ければ高いほど、そして現役期間が長ければ長いほど、増加します。

つまり、女性の社会参加が以前より進んだ、と言えども、まだまだ年金受給額に十分反映されている、とは言えず、それが年金の知識に関する男女の差に表れているのではないかと考えられます。

3.50歳代の公的年金に関する知識が思ったより低い

これは一番驚きました。

50代に入ると、公的年金の受給開始年齢(繰り上げすれば最短で60歳から)もいよいよ近づきます。 

しかし、結果はQ1~Q4ではどれも50%割れ。

Q1「いくら受け取れるか」に至っては、男女とも4割を割っています。

そして最も驚いたのはQ4「何歳になったら年金をもらえるか」です。

受給年齢が近づいているのに、いつもらえるかを知っているのはほぼ半数。

50歳以上であれば、日本年金機構から年1回送られてくる「ねんきん定期便」には、65歳時点で老齢年金の見込額が記載されます。 

ここを見れば一目瞭然なのですが、実際はあまり知られていない、ということかも知れません。

50歳以上の方に送られるねんきん定期便には、65歳時点の年金受給予定額が記載される。


各設問の回答(要約)

最後に、各設問について解答を簡単に記しておきます。

(原則のみ。 例外規定は一切省略しています。)

Q1 「いくら受け取れるか」

(老齢基礎年金)

20歳からの保険料納付年数によって変わります。 満額を受給するには40年間の納付期間が必要です。 

(老齢厚生年金)

前述の通り、「現役中に受け取った給与と賞与の平均」と「現役期間(=保険料納付期間)」によって変わります。

Q2 「自分が何号の被保険者か」

職業などにより、3つに分かれます。

(第1号被保険者)

農業者・自営業者・学生・無職の方などが対象です。 この方は国民年金に加入します。

(第2号被保険者)

会社員・公務員の方などが対象です。 この方は国民年金と厚生年金に加入します。

(第3号被保険者)

国内に居住し、第2号被保険者に扶養されている配偶者が対象です。 この方は国民年金に加入します。

Q3 「公的年金を受けるために必要な加入期間」

10年の加入期間(保険料納付期間+保険料免除期間など)が必要です。

Q4 「何歳になったら年金をもらえるか」

原則65歳です。 ただし、60歳への繰り上げ、75歳までの繰り下げが可能です。

Q5 「加入している公的年金の種類」

日本の公的年金制度は「2階建て」になっています。

すなわち、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員・公務員の方が加入する厚生年金保険の2つです。

つまり、会社員の方であれば、国民年金と厚生年金に加入していることになります。

 
(注釈)
※1 金融広報中央委員会(知るぽると)金融リテラシー調査(2022年)

※2 金融広報中央委員会(知るぽると)家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)

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